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〜消化管がんの予防結果〜
1日3杯以上コーヒーを飲む人は、直腸がんになる危険が、半減する。
愛知県がんセンター研究所 田島和雄疫学・予防部長の研究結果から
1970年代初期多量のコーヒーを飲み続けると、膀胱がんや膵臓がんの危険度が増すという報告があり、世界中で大きな関心を集めました。
 しかし、その後、さまざまな研究がなされ、コーヒーががんの原因となる説は、ほとんど否定されました。そればかりか、大規模な研究評価を続けていた国際がん研究機関出した結論は「コーヒーががんの原因であるという科学的根拠はない」というものだったのです。
 そして現在は、コーヒーの成分であるクロロゲン酸などに、発がん抑制作用があるという報告を、多方面から耳にします。コーヒーと発がん抑制に関する研究は、ここ数年で大きく転換し、コーヒーはがんを予防するという学説がつぎつぎと発表されています。

直腸がん発生を抑制するコーヒーパワー
このような背景にもとづき、現在、大規模な疫学調査(病気の広がり方を人間集団を対象に、統計的手法を使って調査する方法)を行っているのが、愛知県がん研究センター研究所の田島和雄疫学予防部長率いるグループです。
この疫学調査から、どんな成果が得られたのでしょうか。
 愛知県がんセンター病院では、1988年より、県民向けのがん情報を構築するため、同病院を訪問したすべての患者さんに「健康状態質問書」を手渡し、一般的な食習慣や喫煙、飲酒習慣、嗜好習慣、その他の健康に関する約250種類の質問への回答をお願いしています。
 1997年年末には、がん患者、非がん患者を合わせた約7万人の大がかりな疫学調査の研究結果が報告されています。なかでも、コーヒーの影響がもっとも大きいと思われる消化管がんについては、40歳以上の患者さん(がん患者1760例、非がん患者21128例)を対象に分析しました。その結果、コーヒーを1日3杯以上飲むと、直腸がんの危険度が半減することが浮かび上がってきたのです。
 翌年の98年にはさらに、砂糖やミルクの使用状況を含むコーヒー摂取習慣や、ストレスの感じ方などの生活習慣特性等を追加項目に入れ、詳細に調査が行われました。これらの調査を前回と比較し、危険度の比率を出したところやはり直腸がんの危険度が半減(常用しない人の確率を1とした場合0.5のオッズ比)が確認され、継続研究ならではの信頼性の高い結果がえられたのです。

上部消化管がんの危険度が低下
 そして今回、新たな成果が報告されました。コーヒーの飲用習慣は、消化管のなかでも特に上部消化管がんの危険度を低下させている、というものです特に目立った成果は、男性では食道がん、女性では胃がんにおいてです。コーヒーを常飲しない人が、がんにかかる確率を1とすると、コーヒーを常飲する人は、男性の食道がんで0.65、女性の胃がんで0.72と危険度が減っています。調査の対象となったのは、1990年から1997年までの間に受診した、40〜79歳までの中高年の患者さん(がん患者8646例、非がん患者43119例)です。
 喫煙・その他の習慣との関係も含め、今後さらなる研究に期待が高まります。手軽にできるがんの予防として、コーヒーをヘルシーパートナーとしてみてはいかがでしょう。
<社団法人全日本コーヒー協会資料参照>

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